干しいもづくり

「干しいもは素材そのものだから誤魔化せない。」
愛情と手間を掛けた分だけ美味しくなる、絶品ほしいも。

「今年も、干しいもを楽しみにしてくれている人がいる。
食べてくれる相手の顔が見える、だから手が抜けない。」
手間をかけずに、普通に作れば今の何倍もの量が作れると話す。

「毎年、"一割でも美味しく"なるように作る。毎年、"変わらず美味しい"と食べてくれる。」

業者「これはA級品ですね。」
達人「うちのA級品はこんなもんじやないよ(笑)」
業者も品質の良さに喜んで買っていく。
もちろん特A級はお得意さまに直接届けられる。

芋の蒸かしには通常の2倍以上の時間をかけ、極限まで蒸かす。
「デンプンを甘みにかえる酵素が、十分働くように時間をかけるんだ。」
でも、長い時間かけ、おいしく蒸かすのは簡単ではない。
芋を釜にゴロゴロと入れては、仕上がりがムラになってしまうし、
やわらかくなった芋は潰れてしまう。

「土に埋まっていた時と同じ状態にならべるんだよ。」
同じ大きさの芋を、根っこの部分を下に縦に並べて、
ムラにならないよう、潰れてしまわぬように蒸かすのだ。

芋を手とって見ると、たしかに根の部分は太く先はほそい。
「機械で選別すると、どうしても大きさが揃わないんだ。」
3度の選別で芋の大きさを15段階に分ける。
選別にさえ、人の手を惜しまない。

早朝の四時に起きてボイラーに火を入れる。
「お米を美味しく炊くのと一緒だよ。」
最初は強火で、残り半分の時間は蒸らすように。
火加減を何度も調整しながら蒸しあげる。

干しいもの高級品は、"いずみ"という芋で作られるそうだ。
お客「このお芋、いずみですよね?」
達人「ふつうのタマユタカだよ(笑)」
芋自体の糖度が高い"いずみ"で作った干しいもにもひけをとらない。

「こんな作り方してるのは、1000件ある生産者でうちだけだ」
"達人"は自分のことを"変人"だと笑って話す。